素直さがある人材を見抜く!

素直さがある人材を見極めるには

介護・障がい福祉・医療に従事する人材に「素直さ」は重要です。素直な人材は仕事が身につくのも早く、指摘を受けたとしてもしっかり受け止めることができます。そのため、一緒に働くスタッフからも好感をもたれ、利用者やご家族から信頼を得られるでしょう。採用面接で応募者の性格や考え方を見極めるには「状況」「行動」「課題」「結果」を切り口にした質問を準備しておきます。YESかNOでは答えられない聞き方をすると、本心が見やすくなります。

素直さを見極めるための面接質問を8つ挙げていきます。面接時間には限りがあるので、応募者の経歴に合ったものを数問選んで質問してみてください。

<状況>

過去に置かれた状況から考え方を探ります。仕事への向き合い方がわかるよう具体的な質問をしましょう。

質問【1】事故の経験があったら、対処されたときのエピソードを教えてください。

▼見極めのポイント▼

事故というマイナス面を面接で話すのは勇気がいることです。しかし、素直さを持ち合わせていれば、正直に伝えてくれるはずです。原因はなにか、事故後にどのような対応をしたか、自身の言葉で話せていれば安心してよいでしょう。

質問【2】〇〇さんは素直さについて、どのように考えていますか?

▼見極めのポイント▼

「〇〇さんは素直ですか?」のようなYESかNOで回答できる聞き方では、大半がYESと答えます。本心を探るには聞き方を工夫するとよいでしょう。ストレートな質問は「どう考えているか」「どう思うか」を付け加えることで、性格や志向性を知ることができます。

<行動>

行動に焦点を当てた質問で、どのような行動特性があるのかを見極めます。

質問【3】自身のケアが、上司や同僚から間違いだと指摘されたらどうしますか?

▼見極めのポイント▼

周囲からの指摘を真摯に受け止められるかを知るための質問です。正しいと思っていることを否定されるのは決して気分のよいものではありません。しかし、素直さがあれば一旦受け止めてからどうするべきか判断し、行動しているかを話してくれるでしょう。

質問【4】〇〇さんだけでは対処できない業務があった場合、どう行動しますか?

▼見極めのポイント▼

能力の過信は禁物。ひとりで対処できない時、素直さがあれば周囲に助けを求めることができるでしょう。自身の能力を客観的に判断しているか、周囲に協力を依頼できるか確認しましょう。抱え込んでしまう傾向がないかを知るのにも効果的な質問です。

質問【5】失敗を受け止めるとき、〇〇さんが意識することはなんですか?

▼見極めのポイント▼

失敗をしない人はいません。しかし、失敗を受け入れることが苦手な人はいます。素直に失敗を認めて受け入れられるか、後に同じ失敗をしないように対策がとれるか、自身を責めすぎて落ち込むことがないかなど、考え方の傾向を探ることができる質問です。

質問【6】これまでの方法がうまくいかなくなったとき、〇〇さんはどうしますか?

▼見極めのポイント▼

人は年齢を重ねれば重ねるほど、過去の成功体験に固執しがちです。しかし、素直さを持ち合わせていれば、うまくいかないときに今までの仕事の進め方やケアの方法を変える必要があることに気がつきます。

質問【7】周囲のアドバイスを受け入れて、うまくいったエピソードはありますか?

▼見極めのポイント▼

素直さがある人材は、周囲のアドバイスを積極的に聞いて成長できます。複数のエピソードを聞く、または1つのエピソードを「その時どう思ったか」など掘り下げて聞くとよいでしょう。経験がないと答えることが難しい質問なので、本心に迫ることができます。

質問【8】仕事で納得できないことがあったとき、〇〇さんはどう対処していましたか?

▼見極めのポイント▼

素直さはプラスの面が多いですが、一方で言いなりになってしまう、意思がないなど懸念材料もあります。ただ受け入れるだけのタイプではないことを判断するのに有効です。腑に落ちないことや疑問に思うことに問題意識をもって対処したかがわかります。

ワンランク上の面接質問テクニッ

面接は初対面同士で行うため、双方とも緊張した状態です。面接官の方から歩み寄ることで、応募者が信頼し、話しやすい雰囲気を作ることができます。また、質問の聞き方を工夫することで、応募者が自身の言葉で答えてくれて本音に近づくことができます。

<応募者の名前を入れて質問>

「〇〇さんは…」や「〇〇さんにとって」など質問するときに応募者の名前を入れるとよいでしょう。名前を呼ばれることで、応募者は自身の存在を認めてもらっていると感じ、親近感を持ちます。自分のことをしっかり伝えようと質問に答えてくれるでしょう。

<掘り下げワードで本音に迫る>

質問の回答を受けて、さらに質問するときは「なぜ?」「具体的には?」で深掘りをすると本心に近づけます。もっと話を聞いてみたいとき、当たり障りのない答えだなと感じた時の両方の場面で役に立つ質問テクニックです。この質問は応募者の思いやエピソードを聞き出すことができるので、ぜひ活用してみてください。

面接官に求められる質問

インターネット上には面接対策の情報が溢れています。応募者は模範解答を準備してくるため、本音を見抜くのが難しくなっています。一方で面接官向けの情報は少なく、対策が手薄になりがちです。面接で自社が求める人材かどうかを判断するためには、事前に質問の準備や判断軸を決めておくことが重要です。面接で応募者の考え方や人間性を見抜くことができず、採用のミスマッチを繰り返してしまうことは、現場の負担が増えるだけでなく、採用にかかるコストも無駄になってしまいます。

スキルより考え方を探る

中途採用は即戦力の人材を優先しがちです。そのため、面接ではスキルや経験のチェックを重視する傾向があります。しかし、重要なのは応募者の仕事に取り組む姿勢や性格を把握することです。自社の理念や雰囲気と合う人材は現場に馴染むのも早く、長く活躍してくれる可能性が高まります。面接ではスキルの確認をする質問を3割、考え方を知るための質問を7割くらいのバランスがおすすめです。

欲しい人材のタイプに合わせた質問

面接といえば、退職理由や志望動機を尋ねたくなることがあります。特に退職理由は、同じような理由で入社後も辞めてしまうのではないかと心配になるかもしれません。しかし、応募者は退職理由や志望動機について注意深く準備している可能性があります。しかし、それだけでは応募者の価値観や考え方を十分に理解することは難しいでしょう。欲しい人材のタイプに合わせた質問をし、応募者の性格や考え方をより深く理解することが重要です。ぜひ、素直な人材を採用したい場合は本質問をご活用ください。