応募者の本音を引き出す質問術

介護人材の面接、本音が聞ける質問

志望動機や退職理由は対策されやすい

数回の面接で応募者のことを知るのは容易ではありません。また、志望動機などは事前準備がしやすいため判断を見誤る可能性も。応募者の本音を引き出すためには質問の仕方を工夫することよいでしょう。

最近の応募者の傾向

インターネットで回答例の情報収集を行い入念な対策をしている。複数回の転職も珍しくなく、面接慣れしている応募者も多い。特によく聞かれる志望動機や退職理由は準備がしやすい。

本音が聞ける魔法の4フレーズ

志望動機や退職理由は聞いておきたい重要な質問です。応募者の回答を掘り下げるときに4つの質問テクニックを使ってみましょう。この方法だと応募者は自身の言葉でしか答えることができません。そのため、本音や考え方を知ることができます。

本音が聞ける質問フレーズ、なぜ、具体的には、どう思った、どう感じた

志望動機から本音を探る

◆[1]なぜ◆

応募者が答えたことの裏側にある目的や根拠、理由を引き出すことができる聞き方です。

(面接官) 「志望動機を教えてください」

(応募者) 「3年間、特養に勤務していました。経験とスキルを活かし、より家庭的なグループホームでの介護にチャレンジしたいからです」

◆回答を「なぜ?」で掘り下げる◆

例1:「なぜ、グループホームなら家庭的な環境で介護ができると思いましたか?」

例2:「なぜ、特養では家庭的な環境で介護を行うことが難しかったのでしょうか?」

◆[2]具体的には◆

漠然としている内容を掘り下げて、考えを明確にできる聞き方です。

(面接官) 「志望動機を教えてください」

(応募者) 「介護理念の『一人ひとりが尊厳をもって暮らせる場所をつくる』に共感しました。利用者さまに寄り添ったサポートしたいと考えています」

◆回答を「具体的には?」で掘り下げる◆

例1:「〇〇さんが考える尊厳とは具体的にどのようなことでしょうか?」

例2:「寄り添ったサポートで具体的にチャレンジしたいことを教えてください。」

退職理由から本音を探る

◆[3]どう思った◆

応募者が自身の考えや気持ちを自由に答えさせることができる質問形式です。

(面接官) 「退職理由を教えてください」

(応募者) 「旧態依然とした介護方針でした。利用者さまが望まないケアをするのが心苦しかったです。施設長も黙認しており、退職を決断しました。」

◆回答を「どう思った?」で掘り下げる◆

例1:「利用者さんが望まないであろうケアを受けている時、どう思っていましたか?」

例2:「施設長が問題を解決しようとしないことに対してどう思いましたか?」

◆[4]どう感じた◆

応募者の経験や行動にともなう感情を引き出すために有効な聞き方です。

(面接官) 「退職理由を教えてください」

(応募者) 「効率性を重視する方針が極端すぎました。看取りや排泄介助で尊厳が守られておらず、改善提案をしたのですが、理解されず退職を決めました」

◆回答を「どう感じた?」で掘り下げる◆

例1:「看取りにも効率さを重視していることについて、どう感じましたか?

例2:「〇〇さんの提案が認めてもらえなかった時、どう感じましたか?

応募者の本音や価値観を選考に活かすコツ

資格がある、経験が豊富だからといって即決で採用するのはミスマッチの原因となります。面接で知ることができた応募者の性格を自社の理念や社風と照らし合わせて判断しましょう。現場は人間関係が重要、既存職員との相性も考慮することが大切です。

理念や社風と照らし合わせる

(例)変化に寛容的、若い職員が多い職場と相性のよい人材

・進化や変化を楽しめる

・チャレンジ気質がある

◎採用すべき

・業務改善に意欲的。変化をストレスに感じない

・失敗を恐れず挑戦できる。アイデアを否定しない

△採用は要検討

・決められたことは着実に行う。ルールや時間を守る

・過去の経験や事例にこだわり、業務を進めたい

既存職員との相性と照らし合わせる

(例)チームワークを重視する職員と一緒に働ける人材

・調和を大切にする

・多様な働き方を認め合う

◎採用すべき

・自分の意見を押し通さず、周りが納得する方法を提案

・立場や職種にかかわらず、フラットに接する姿勢

△採用は要検討

・何事も自分ひとりで解決する意思が強い

・ひとりでコツコツと業務に取り組むことを好む


面接では経験や業務スキルの確認に時間を割きすぎないようにしましょう。応募者の人柄や考え方を知るために効果的な4つの質問フレーズを活用してみてください。

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