介護人材の選考チェックリスト

採用のミスマッチがさらに人材不足を招く

現場が人手不足だからといって、難があるとわかっている人材を採用することはマイナスにしかなりません。早期離職や既存職員とのトラブルなどで現場が混乱する可能性が高くなります。その結果、長く勤めている職員が強いストレスを受けたり、退職してしまうリスクもあります。また、新たな採用コストもかかり、経済的な損失も計り知れません。

<採用してはいけない人材が入職した場合>
・遅刻や無断欠勤でシフトがまわらない
・既存職員とのもめごと
・長く勤めていた、戦力になってくれていた職員の退職
・利用者や家族からのクレーム発生

入職後トラブルを起こしやすい人材の特徴

介護職は安全性や正確さが求められる一方で、臨機応変な対応も求められる業務です。経験や資格があっても、性格や行動特性によって不向きな場合があるため、適性をしっかりと見極めることが重要。もし、面接で不安を感じた場合は、慎重に判断して採用を見送ることも大切です。

<協調性がない>

  • 自分の都合だけを優先
  • 同僚の手助けをしない
  • マイペースすぎる

<柔軟性がない>

  • 自分のやり方に固執
  • 新しい取組みに批判的
  • マニュアル的な対応

<謙虚さがない>

  • 誰に対してもタメ口
  • 間違っていても謝らない
  • アドバイスに逆ギレ

トラブルメーカーの採用は業務だけでなく、利用者さまのケアにも悪影響を及ぼします。弊社が行ったアンケートでは清潔感がない、派手な服装での面接や前職の悪口を永遠と語るなどの非常識な応募者に出会った経験が寄せられました。このような応募者の採用は慎重に行うことが大切です。

非常識な介護人材の応募者

初対面でチェックしたい!清潔感や態度

介護業務は利用者に接する仕事です。介護の知識やスキルがあっても、言葉遣いや態度、接し方に懸念を感じた場合、採用は避けたほうが無難です。介護人材はサービスを受ける利用者の年齢や特性を考慮し、慎重に判断するようにしましょう。

<見た目の印象は重要な判断材料>
メラビアンの法則とは人とのコミュニケーションで「話し手のどの情報が聞き手の印象に影響するか」を数値化したものがあります。例えば、怒った表情で低い声のトーンで「好き」と言った場合、相手は「本当は嫌いなのではないか」と受け取ってしまうというケースです。電話応対や面接時の挨拶や話し方、態度で見極めることは一定の効果が見込めるでしょう。

メラビアンの法則

残念ながら応募者の中には社会人として相応しくない人物もいます。介護職は高齢の利用者の身体と心のケアを行います。不安を感じた場合は慎重に判断しましょう。

▶面接時に使える!チェックシートをダウンロードする

面接慣れした完璧な応募者に要注意

服装や言動に問題がなくても、面接中のコミュニケーションに違和感がある場合は要注意。最近はインターネットで面接の攻略法が多数紹介されています。思わず採用したくなるような模範的な回答ばかりする応募者もいます。おかしいなと感じたら、回答をさらに掘り下げる質問をして応募者の本音を探りましょう。

<完璧な応募者とは>
志望動機や退職理由を入念に準備し、模範回答をするケースがあります。準備をすること自体は評価できるポイントですが、本人が自分自身の言葉で話しているか見極めが重要です。

(要注意ポイント)
・理想論や耳障りのよい言葉
・一気にまくし立てて話す
・気持ちが感じられない

掘り下げて質問してみる

「なぜ?」「具体的には?」
気になった箇所を掘り下げるときに使ってみましょう。
(例)「グループホームで経験を積みたいと考えました」→「グループホームで具体的には、どのような経験を積みたいですか?」

「どう思った?」「どう行動した?」
気持ちや行動を知りたいときに使ってみましょう。
(例)「不適切な介護が常態化していて心苦しくなった」→「不適切な介護に直面して、どう思いましたか?」

本音を見抜く面接の質問例

介護人材は即戦力が求められるため、スキルや業務経験を優先しがちです。しかし、人柄や考え方が自社と合致しないとサービスの低下や職場の雰囲気悪化の要因になります。。特に協調性、柔軟性、謙虚さは介護職に共通した大切な資質です。質問を工夫して見極めましょう。「協調性はありますか?」などYESかNOで答えられる質問よりも、具体的な行動や思いが聞ける質問をするのがポイント。

協調性、柔軟性、謙虚さの見極め

<協調性を見極める質問例>
「チームで業務を行う場合、大切にしていることは?」
※能力が高くても、自己中心的な考えや行動ばかりだと孤立してしまうため

<柔軟性を見極める質問例>
「マニュアル通り対応が不可能な場合はどう行動しますか?」
※緊急時など臨機応変な対応できない可能性がある

<謙虚さを見極める質問例>
「ミスをしてしまったときは真っ先に何をしますか?」
※年齢や立場に関係なく、謙虚な行動がとれないと人間関係を築きにくい

採用か不採用で迷ったときに使える!採用の三原則

面接官、採用責任者として採用か不採用かの判断は難しいものです。求める人材はそれぞれですが、原則を知っておくと判断の助けになります。一つ目は挨拶と清潔感は最優先、二つ目は一次面接で迷った場合は選考を進める、三つ目は最後の最後に迷ったら不採用にするを参考にしてみてください。

迷ったときの介護人材採用の三原則

介護職は誰でも挑戦することができますが、決して誰にでも務まる仕事ではありません。「採用してはいけない人材」の基準を持っておくことで、大切な利用者や現在働いている職員を守ることができます。社会人として相応しくない応募者の採用は慎重に行うとよいでしょう。