
4法人で1名を取り合う過酷な採用環境
介護関連職種の有効求人倍率は全職種よりも高い約4倍で推移しています。これは求職者1人に対して、4社が競合し、人材の取り合いをしている状態です。雇う側は採用が難しく、求職者側は選びやすく圧倒的に有利な状況にあります。

※出典:一般職業紹介状況(厚生労働省) 2023年7月~9月平均値
※介護関係職種は介護サービス職業従事者、福祉施設指導専門員、その他の社会福祉専門職業従事者、家政婦(夫) 、家事手伝いの合計

"売り手市場"の今は求職者が有利!1件の応募がとても貴重です。
求職者から「選ばれる」ことを意識するのが採用成功のカギになります。
良くも悪くも面接官が入社の意思決定に影響
選考に欠かせない面接は応募者者にとっても重要な位置づけです。ある調査によると、面接官の言動が良い意味でも悪い意味でも応募者の入社意思決定に大きな影響を与えていることがわかります。今一度、面接官の役割と心構えを確認しておきましょう。


※出典:『エン転職』アンケート「企業・面接官対応の応募者への影響」調査
「選ぶ」×「選ばれる」面接が採用成功のカギ
厳しい採用環境の中で欲しい人材を採用するためには、面接の方法を見直すことと面接官のスキルアップが重要です。面接の目的は、自社に合った人材を採用し、入社後に活躍してもらうことです。採用側がよい人材だと判断しても、応募者から「ここでは働きたくない」と思われてしまっては、採用できません。面接官に求められている役割は2つあります。選ぶ(見極める)と同時に、選ばれる(入社意欲をアップさせる)面接を行いましょう。
面接官に求められる2つの役割
「採用の失敗をしたくない」と減点方式で求職者を選考、いわゆる「落とす面接」をしていませんか?もちろん選考は面接官の大切な役割です。しかし、応募者も面接で自身に合う職場を選んでいます。面接官は、応募者の入社意欲を上げるために、自社で働く魅力を伝える役割も求められています。
<選考する=自社とマッチする人材を見極める>
経歴やスキルだけでなく、応募者の性格や価値観がマッチするかを確認しましょう。
<入社意欲を上げる=自社の魅力・強み・特長を伝える>
多くの応募者は同時に複数の選考を受けています。ここで働きたいと感じさせることがポイント。面接官は自社の代表として見られていることを意識しましょう。
面接官が陥りやすい偏見に注意!
人間には誰しも持っている考えの偏りがあります。面接時に起きやすい「バイアス」を事前に確認しておきましょう。これらの偏見は入社後のミスマッチにつながるリスクがあります。公平な評価をし、選考判断を行うために、自身の考えの癖を意識しておくとよいでしょう。
先入観や偏見の例
| 認知バイアス | 確証バイアス | 類似性バイアス |
| これまでの経験や直感で生じる偏見 | 決めつけで、都合の悪い情報を無視してしまう | 似ている、属性が同じ人を高く評価してしまう |
| 例)年齢や性別で良悪を判断 | 例)第一印象が判断に大きく影響 | 例)同じ学校や出身地の人を評価 |
応募者の人物像がわかる質問テクニック
入社後に活躍する人材を採用するには、経験やスキルの確認と併せて応募者の価値観や性格を見極めることも重要です。退職理由や志望動機の回答を深堀りしていくと、考え方や行動の特性が見えてきます。仕事の向き合い方や周囲の関わり方を把握し、自社の求める人材とのマッチ度合いを確かめましょう。
▶ありがちなNG選考方法
経験・スキルの確認割合が多いと、人物像がわからず、ミスマッチの可能性が高まります。
・前職の業務経験を細かく確認する
・資格取得=業務ができると思い込む
・経験年数だけで判断してしまう
【人物像を探る"深堀り"質問事例】
必ず質問する「退職理由」は"深堀り"してみましょう。これまでの役割や行動を聞くことで人柄が見えてきます。課題をどのような立場でどう行動したかを聞き、自社の求める人材と一致するかを見極めましょう。
| 退職理由 | 古い手順にこだわる職員が多く、利用者の方に不自由な思いをさせてしまっていた。 |
・質問例(1):具体的にどのようなケースがありましたか? 〇〇さんが状況を変えるため何か提案したことがあれば教えてください。
・質問例(2):業務改善は難しい面もあると思いますが、〇〇さんは新しい試みを取り入れたいとき、どう上司や同僚に協力してもらいますか?
印象が良くなる3つのポイント
応募者は人間関係の良い職場で働きたいと考えています。入社後、同僚や上司になる可能性が高い面接官は職場の代表として応募者と接していることを意識することがポイント。第一印象を良くし、応募者の話をしっかりと聞くことです。面接をしてあげている、と上から目線にならないように気をつけましょう。
◆挨拶・お礼
好印象を与えられ、良好な人間関係を築ける
(面接スタート時):「こんにちは。本日は面接にお越しくださいましてありがとうございます」
(面接終了時):「おつかれさまでした。本日は以上です。気をつけてお帰りください」
◆自己紹介
自ら情報を開示することで信頼してもらえる
(面接スタート時):「本日面接を担当します〇〇です。施設長をしています」「以前は特養で働いており、こちらへ転職してから3年半くらいです」
◆傾聴
聞き上手になると応募者が本音を話しやすくなる
(NG態度)
・話を途中で遮る
・否定する
・腕組みやふんぞり返る
※ストレス耐性を見たいからと圧迫面接をするのは絶対にやめましょう。
入職意欲がアップする魅力の伝え方
多くの応募者は同時に複数社の選考を受けています。条件に大きな差がない場合は、気持ちよく働くことができる、成長できるなど雰囲気や社風で入職を決める傾向があります。面接中に「この応募者にはぜひ入職してほしい」と感じたら、自社の魅力をしっかりと伝えて入社の後押しをしましょう。
◆志望動機や退職理由に関連したメリットを具体的に伝える
応募者の志望動機が「スキルアップをしたい」「経験を積みたい」場合
(メリット例)外部や内部研修が年間5回あり、職員のスキルアップを支援しています。
◆質問の答えで不安を解消する
応募者の質問が「残業はどのくらいと考えておけばよいですか?」という場合
(不安解消例)多くても月5~10時間が目安です。業務改善でさらに減らせる見込みです。
◆活躍の場を具体的に伝える
職歴がホテル・飲食店の勤務経歴が豊富な場合
(活かせるスキル例)〇〇さんの接遇マナーや臨機応変な対応が活かせる職場ですよ。
まとめ
良い人材を採用したい気持ちから、面接は「選考」がメインになりがちです。しかし、売り手市場の今は応募者も面接で職場を選んでいます。面接官には選考と同時に、応募者の不安を解消したり、職場の魅力を伝えるなど、入職意欲をアップする役割も求められます。面接官の振る舞いは応募者の印象を大きく左右します。応募者一人ひとりと丁寧に接するようにしましょう。


