介護現場で必要な応募者のコミュニケーション能力を見抜く8つの面接質問

介護・障害福祉・保育の現場では、上司や同僚だけでなく、利用者さん、ご家族、看護師やケアマネジャーなど多くの人と関わります。そのため、採用面接でコミュニケーション力を確かめたいと考える施設長・採用担当者の方は多いのではないでしょうか。

ところが「コミュニケーションは得意ですか?」と聞いても、ほとんどの応募者は「はい」と答えます。

この記事でわかること

  • 介護の現場で求められるコミュニケーション力の中身
  • 状況・行動・課題・結果の4つの切り口で聞く8つの面接質問
  • 回答の評価の目安(良い回答・注意したい回答)
  • 申し送り・家族対応・多職種連携の場面別質問
  • 会員アンケートからわかる、面接官自身の聞き方のポイント

対人スキル・コミュニケーションスキルをしっかり確認

即戦力人材を採用するために、面接でスキルや経験のチェックに重点を置いていませんか?早く職場に馴染み、長期に渡り活躍できる人材に共通するのは人柄や性格の良さです。また考え方や価値観が自社の理念と雰囲気に合っているかも重要です。応募者と直接話ができる面接では、応募者の仕事に取り組む姿勢や性格を把握することがポイントです。求める人材に合わせた面接の質問を準備しておきましょう。

人柄7割+スキル3割。人柄(価値観・性格・考え方)がマッチする人材の方が定着・活躍できる

コミュニケーション力はなぜ大切なのか?

医療・介護職は上司や同僚以外にも患者や利用者とそのご家族、他職種の担当者など多くの人と関わります。どのような立場の人とも意思疎通や情報共有をスムーズに行うためコミュニケーション力が重要です。コミュニケーション力が高い人材はチームワークを高め、職場の雰囲気も良くしてくれます。

ウェルミージョブ会員アンケート|前職を辞めようと思ったきっかけ

1位「人間関係」15.7%

コミュニケーションのすれ違いは、本人の働きにくさだけでなく、周りの職員の離職にもつながります。採用の段階で確かめておきたい理由の一つです。

出典:ウェルミージョブ(旧カイゴジョブ)会員アンケート(2024年10〜11月実施、有効回答866人。本設問の回答者813人)

コミュニケーション力が必要な場面

  • 職員同士の連携
  • 利用者のケア
  • 利用者ご家族の対応
  • 外部の専門家や機関とのやりとり

必要な3つの能力

伝える力
業務報告や自分の考えなどをわかりやすく伝える力(話す/文章)

聞く力
話を聞く姿勢がある。正確に情報を受け取り、不明点を質問する力

非言語
目を見て話す・聞く、表情や声を状況に合わせる、相づちができる

コミュニケーション力がある人材を見極める8つの質問

「コミュニケーション力はありますか」と聞いても、多くの応募者は「はい」と答えます。応募者のことをより深く知るために、4つの切り口で8つの質問と、回答の評価の目安を紹介します。面接時間には限りがあるので、応募者の経歴に合ったものを数問選んで聞いてみましょう。

  • 状況質問1・2
  • 行動質問3・4
  • 課題質問5・6
  • 結果質問7・8

状況を切り口にした面接質問例

状況を客観的に把握できるか、仕事への向き合い方がわかるような質問をするのがポイントです。

質問1 「1~2分を目安に自己紹介していただけますか?」

あえて自由に話してもらう質問です。限られた時間で自身のことを端的にわかりやすく相手に伝えているかに注目します。話しているときに面接官の目を見ているか、話すスピードは適当かもみておきましょう。

良い回答
時間内に経歴・強み・応募理由を順序立てて話す。面接官の反応を見ながら話す速さを調整している

注意したい回答
時間を大きく超える、または30秒ほどで終わる。目線が合わず、用意した文章を読み上げているように聞こえる

質問2 「業務を行う際、一人とチームではどちらが得意ですか?理由も教えてください」

直接的な質問は理由と一緒に質問すると本心がわかります。具体例を挙げる、経験に基づいているなどわかりやすく説明できているかで判断しましょう。自身の役割やメンバーとの関わり方を聞くのも効果的です。

良い回答
どちらを選んでも、具体的な経験を根拠に話せる。「一人」を選んだ場合も、報告・相談は欠かさないと補足できる

注意したい回答
「人と関わるのが面倒」など、ネガティブな理由しか出てこない

行動を切り口にした面接質問例

普段からコミュニケーションを重要視し、実際に行動しているかを確かめられます。

質問3 「上司や同僚との関係を円滑にするために最も重要なことは何だと思いますか?」

重要と考えていることが一般的にコミュニケーションを円滑にするのに適切かで判断するのがおすすめです。エピソードや具体例をしっかり話せる応募者は、普段から自発的に人間関係を円滑にしようと意識していると言えるでしょう。

良い回答
「報告を早めにする」「相手の手が空いているかを見て声をかける」など、行動レベルで答えられる

注意したい回答
「明るさ」「笑顔」など抽象的な言葉だけで、具体例が出てこない

質問4 「ご自身の考えを正確に伝えるために工夫していることはありますか?」

相手に物事を正確に伝えるためには、話すことを整理してから、相手の状況や理解度に合わせた言葉や伝え方を選ぶ必要があります。「相手」の立場や状況に配慮できているかに注目するとよいでしょう。

良い回答
結論から話す、メモや記録に残すなど、相手が受け取りやすくする工夫を話せる

注意したい回答
「はっきり言う」など、自分側の話し方だけで、相手の理解度への配慮がない

課題を切り口にした面接質問例

応募者の課題への向き合い方や改善意欲を知り、成長性を感じられるかを判断できます。

質問5 「苦手な上司や同僚、利用者さんと接するときに心掛けていることはありますか?」

誰にでも苦手な相手はいます。ネガティブな面を正直に話せる応募者は信頼できます。歩み寄りの姿勢がある、自身も改善しようと努力していれば、どのような相手でも一定のコミュニケーションが取れるでしょう。

良い回答
苦手さを認めたうえで、業務上必要な報告や声かけは欠かさない工夫を話せる

注意したい回答
「苦手な人はいない」と言い切る、または相手への不満が中心になる

質問6 「ご自身の考えや提案が相手に受け入れてもらえないときはどうしますか?」

受け入れてもらえないからといって、簡単に諦めていないか、強引に推し進める傾向がないかに注目します。相手の気持ちや状況を尊重しながら、落としどころを見つけられるような考えや行動ができそうかで判断しましょう。

良い回答
相手の理由を聞く、タイミングや伝え方を変えるなど、歩み寄りの手順を話せる

注意したい回答
「言っても無駄なので諦める」、または「通るまで主張する」のどちらか極端な回答

結果を切り口にした面接質問例

結果に焦点を当てます。過去のことをどのように受け止めているのかがわかる質問です。

質問7 「チームワークが機能して、うまくいったエピソードはありますか?」

エピソードはこれまでの経験を確認するのに有効な質問です。とくに成功体験がある応募者は入社後も力を発揮してくれる可能性があります。応募者がどのような立場だったのか、うまくいった理由は何かを追加で質問するのもおすすめです。

良い回答
自分の役割と、周りとどう情報を共有したかを具体的に話せる

注意したい回答
結果だけを話し、自分が何をしたのかが見えない

質問8 「〇〇さんは上司や同僚から客観的にどう評価されていると思いますか?」

コミュニケーション力がある人材は主観と客観をうまく使い分け、円滑な人間関係を築いています。周囲からの評価と、面接で話した応募者の印象や行動に大きなギャップがないかを確認しましょう。

良い回答
良い評価と改善を指摘された点の両方を、実際に言われた言葉で話せる

注意したい回答
良い評価だけ、または「わからない」で終わる

介護の現場ならではの場面別質問

8つの質問に加えて、介護の現場でよくある場面を想定した質問を一つ入れると、入職後の働き方をより具体的にイメージできます。応募者の経験に合わせて選んでください。

申し送り(職員同士の情報共有)

「夜勤明けの申し送りで、利用者さんの小さな変化を伝えるとき、どんなことに気をつけていますか?」

見るポイント
いつ・誰が・何をといった事実と、自分の判断を分けて伝えられるか。記録に残す習慣があるか。

ご家族への対応

「ご家族から、ケアの方法について強い口調で要望を受けたことはありますか?そのときどう対応しましたか?」

見るポイント
まず話を最後まで聞く姿勢があるか。自分だけで判断せず、上司や担当者につなぐことができるか。

多職種との連携

「看護師やケアマネジャーに、利用者さんの状態を相談したときのエピソードを教えてください」

見るポイント
専門職に伝えるべき情報(いつから・どのくらい・普段との違い)を整理して伝えられるか。

面接官のコミュニケーションも、応募者に見られている

コミュニケーション力を見ているのは、面接官だけではありません。面接・見学のときに入職に前向きになれたポイントを聞くと、次の結果になりました。

ウェルミージョブ会員アンケート|面接・見学で入職に前向きになれたポイント

1位「面接官や施設長の人柄」31.3%

「自身の希望やキャリアを親身に聞いてくれた」も10.4%が選んでいます。

出典:ウェルミージョブ会員アンケート(2026年1〜3月実施、介護・障がい福祉職の設問回答者460人、複数回答)

応募者の話を遮らずに最後まで聞く、うなずきや相づちを入れる、といった面接官の姿勢は、そのまま「この職場で相談しやすいか」の判断材料になります。

質問するときは、応募者の名前を入れて「〇〇さんは…」と聞くと、答えやすい雰囲気をつくれます。回答には「なぜ?」「具体的には?」と掘り下げると、人となりが見えてきます。人柄を見抜く面接の進め方は「面接で人柄を見抜くのが難しい理由」で詳しく解説しています。

入職後に力を発揮してもらうために

コミュニケーション力は、本人の能力だけで決まるものではありません。職場に「すぐ相談できる仕組み」があるかどうかでも変わります。同じ調査で入職時のサポートを聞くと、「疑問や悩みをすぐに相談できる環境」について次の差がありました。

疑問や悩みをすぐに相談できる環境

本当はあれば良かった20.2%
実際にあって良かった12.6%

出典:ウェルミージョブ会員アンケート(2026年1〜3月実施、介護・障がい福祉職の設問回答者460人、複数回答)。グラフの横幅は25%を最大として表示

面接で「入職後は〇〇さんが相談役になります」「毎日の終礼で困りごとを共有しています」と具体的に伝えると、応募者の安心感につながります。入職後のサポートは「新人職員の早期退職を防ぐ!先回りサポート術」もあわせてご覧ください。

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よくある質問

面接でコミュニケーション力を見るには、何問くらい聞けばよいですか?

1回の面接で全部を聞く必要はありません。8つの質問から2〜3問と、場面別の質問を1問選ぶのがおすすめです。1つの回答を「具体的には?」と掘り下げるほうが、人となりが見えてきます。

緊張して話せない応募者は、コミュニケーション力が低いと判断すべきですか?

面接の緊張だけで判断するのはおすすめしません。質問をわかりやすく言い直したときに、落ち着いて答えられるかを見てください。現場で大切なのは、話のうまさより、報告・相談を欠かさない姿勢です。

評価は面接官によってばらつきませんか?

この記事の「評価の目安」を面接官同士で共有し、「採用の失敗を防ぐ!面接選考シート」に記録すると、評価のばらつきを減らせます。

まとめ

  • 介護の現場では、職員・利用者さん・ご家族・多職種と関わるため、コミュニケーション力が欠かせない
  • 会員アンケートでは、前職を辞めたきっかけの1位が「人間関係」
  • 8つの質問は、回答の「良い」「注意」の目安とセットで使うと評価がぶれにくい
  • 面接官の聞き方も、応募者に見られている(入職に前向きになれた理由の1位は「面接官や施設長の人柄」)

採用面接では、素直さ・協調性・責任感など、さまざまな人柄を見る必要があります。それぞれの見極め方は、以下の記事で解説しています。

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