
応募者のスキル・経験と人柄の両面で判断
仕事は生活の安定や社会参加など、生きていくうえで重要な位置づけです。誰でも自由に自分の適性や能力に応じて職業が選べる社会でなければいけません。よって、採用選考は応募者の基本的人権を尊重、人を人として見ること、応募者の適性や能力に基づいた採用判断することが求められます。

就職は人生を左右する重要な決定です。憲法ですべての国民に「職業選択の自由」が保証されています。
就職差別につながるおそれがある事項
※場を和ませるためや世間話の認識だとしても差別発言になるので注意しましょう。
【適性や能力に関係ない事項の把握】
・本人に責任のないこと
・思想や信条にかかわること
【身辺や健康状態の把握】
・身元調査
・合理的理由のない健康診断
違反することで生じるリスク
面接で聞いてはいけない質問をした場合、大きなリスクが生じます。仕事の能力や適性と無関係な個人的な質問しないよう気をつけましょう。面接官は面接で質問してもよいことと質問すべきではないことを理解しておくことが重要です。
【職業安定法違反】
「採用選考の際、必要な範囲を超える個人情報を同意なく収集してはならない」と定められています。違反すると改善命令を受けます。改善命令にも従わない場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
【評判が著しく悪化】
面接で不快な質問を応募者がネットの書き込みやSNSなどで発信するとイメージダウンに繋がります。悪評が広まると求人広告を掲載しても応募が集まらなくなる可能性や職員や取引先の信用を失うリスクもあります。
面接でしてはいけない「11の質問」
面接で応募者の適性・能力に関係ないことは質問してはいけません。たとえ採用判断に使わないつもりでも、回答を聞いてしまえば、どうしても合否決定に影響を与えます。これは職業差別につながります。
【本人に責任のない事項】
応募者をリラックスさせるための世間話だとしても家族や生活について質問してはいけません。
| 質問 | 質問例とその理由など |
| (1)本籍・出生地の質問 | 「出生地はどこですか?」「ご両親の出身地はどこですか?」 ※地域による偏見、差別を助長することになります。 |
| (2)家族の質問 | 「両親、兄弟の職業は何ですか?」「ご両親の最終学歴は?」 ※努力や意思で変えられず、不利益が生じる可能性があります。 |
| (3)住宅、住まいの質問 | 「借家ですか、持ち家ですか?」「家の間取りは?」 ※生活水準の予断や推測ができてしまいます。 |
| (4)生活や家庭環境の質問 | 「家族の仲はよいですか?」「お子さんの学校は私立ですか?」 ※人権やプライバシーの侵害につながります。 |
【本来自由であるべき事項】
人物像を把握するとしても下記の質問は不適切です。特定の考えの人を排除することにつながります。
| 質問 | 質問例とその理由など |
| (5)宗教・信仰の質問 | 「信仰する宗教は?」「神や仏を信じていますか?」 ※憲法で信仰の自由が定められています。 |
| (6)支持政党の質問 | 「先日の市長選は誰に投票しましたか?」「支持している政党は?」 ※家族の支持政党も聞いてはいけません。 |
| (7)人生観や生活信条の質問 | 「あなたの人生観を教えてください?」「信条としている言葉は?」 ※個人の生き方や価値観は業務遂行能力にとは無関係です。 |
| (8)尊敬する人物の質問 | 「あなたが尊敬する人物は?」「目標としている人はいますか?」 ※理想を知りたい場合は業務にフォーカスした質問にします。 |
| (9)思想の質問 | 「多様性についてどう思いますか?」「今の世の中をどうですか?」 ※思想の自由は憲法で保障されているためです。 |
| (10)社会運動の質問 | 「労働組合の経験はありますか?」「社会活動はしていますか?」 ※個人の社会運動への関わりは自由で業務とは関係ないためです。 |
| (11)購読新聞や愛読書の質問 | 「何新聞を購読していますか?」「愛読書は何ですか?」 ※思想や信条、信仰を知る可能性があるためです。 |
してはいけない採用方法にも要注意
公正な採用選考の一環として、身元調査や合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施、本人の適性や能力に関係ない事項を含んだ応募書類を使用することもしてはいけません。
【身元調査】
戸籍謄(抄)本や本籍が記載された住民票(写し)、現住所の略図等の提出を求めることも身元調査に該当します。
【応募書類】
宗教、支持政党など、してはいけない質問事項を記載した応募書類の記入や提出を求めることはできません。
【必要性のない健康診断】
合理的・客観的に必要性が認められない場合以外は実施してはいけません。
※雇い入れ時の健康診断とは異なります。
応募者を知るために役立つ面接質問例
自社に適した人材を採用するためには、面接で応募者の業務適性や人柄を知ることが重要です。かぎられた時間を有効に使うため、確認漏れを防ぐためにも面接前に質問内容をまとめておきましょう。
【職歴や業務経験】
これまでの知識や経験が貴社の業務に役立つか判断しましょう。具体的な経験や身につけたスキルを質問するのがポイントです。
質問例
「レクリエーションは企画、運営などひと通りの経験がありますか?」
「認知症の利用者さんと接するときに心がけていることは何ですか?」
【志望動機】
入社後に力を入れたい業務や役割、取得したい資格などを質問し、どのような活躍ができそうか判断しましょう。
質問例
「訪問介護を選んだ理由と入社後に活かせる経験を教えてください」
「今後、何の資格を取得したらスキルアップできると思いますか?」
(確認を忘れずに!)
認識の違いはトラブルの元です。以下は面接時に必ず確認しておきましょう。
・保有資格
・勤務可能日時
・条件(給与/休日)
・勤務開始可能日
・勤務場所
・業務内容/範囲
まとめ
応募者の人柄や考え方、価値観を確認することはミスマッチ採用を防ぐ上で大切です。人権侵害や差別につながる「面接で質問してはいけない11の質問」とその理由をご紹介しました。世間話の延長など悪意がなくてもNGです。応募者の適性を見極めるためには、業務と結び付けた質問を活用しましょう。


