
応募者のスキル・経験と人柄の両面で判断
面接は応募者と顔を合わせ、入社後に活躍してくれる人材かを見極める場です。ポイントは2点あり、一つ目は応募者の職務履歴や保有資格の確認、二つ目は表情や話し方、考え方などから人柄を知ることです。必ずこの両面から応募者の合否を判断しましょう。

面接の基本は、応募者のスキルと人柄を見極めることです。

判断しやすいものと判断が難しいもの
応募者のスキル・経験、人柄を確認するにあたり、判断しやすいものと判断が難しいものに分かれることを知っておきましょう。面接では目に見えにくい応募者の性格や価値観、仕事に対する考え方をどれだけしっかりと引き出し、本音を見抜けるかが重要です。
【判断しやすい】

態度・表情、業務経験、資格、スキル/技術
面接時の振る舞いや応募書類など、目に見えるものは判断しやすい要素です。面接時の礼儀やマナー、業務内容との適合性を確認します。
【判断しにくい】

性格・価値観・意欲など
応募者のパーソナリティなど目に見えないものは、面接時に質問を工夫する、会話を通じて本音を探ります。
スキル・経験を見極めるポイント
面接は応募者の履歴書と職務経歴書をベースにして質問します。自社が求めている能力と合致するか、記載事項に矛盾や不明な点がないかを確かめましょう。数値化できる経験年数、担当利用者数、マネジメント人数などは判断の目安になりやすいので、具体的な数字の記載がない場合は必ず確認します。
<応募書類の確認ポイント>
(履歴書)
・キャリア・転職の一貫性
・保有資格と業務の関連性
・志望動機や自己PR
(職務経歴書)
・自社で活かせる職務経験の有無
・実績や成果の具体的な数字
・業務上の立場や関わり方
質問を工夫して、業務との相性を確認
応募書類だけでは、これまでの職務経験を通じてどのようなスキル・能力を身につけたのか、それらが自社で活かせるのかわかりません。確認が不十分だと採用後にミスマッチを引き起こします。業務を任せられるか確認するために、具体的な実績やエピソードを聞くとよいでしょう。質問例を参考にしてみてください。
【求める人材の要件】15名のチームで中堅として経験の浅い職員をサポート、将来的にリーダーを任せたい
[面接官] A特養に勤務していた3年間で、リーダー職は何年経験されましたか?
↓
[応募者] 1年間です。入社時から2年はリーダーをサポートしていました。
↓
[面接官] 何名の職員をまとめていましたか?未経験の職員はいましたか?
↓
[応募者] 9名です。パートの方は未経験で、3名担当していました。
<見極めポイント>
自社が求める要件と照らし合わせてみましょう。要件は数値化しておくと判断しやすくなります。
(経験値:経験年数などで熟練度を判断)
求める要件例:
・1年程度の経験でOK
・5年以上の経験が必須
(規模感:利用者数、マネジメントした人数や年数で判断)
求める要件例:
・5名以上のマネジメント経験
・1日4件以上の訪問経験
(実績:経験の有無、難易度などで適性を判断)
求める要件例:
・障がい者施設の実務経験
・未経験者の指導経験
人柄の見極めが面接官の腕の見せ所
中途採用では能力・経験などのスキルを重要視しがちです。しかし、長く活躍する人材を採用するためには人柄や考え方の見極めが重要です。目に見えやすい態度や言葉遣いから判断するのは比較的簡単です。最低限ここだけはクリアしてほしいポイントを事前におさえておくとよいでしょう。
まずはここを確認!
| ✓ 第一印象 | ✓ 話し方 | ✓ 表情など | ✓ 態度 |
| □ 挨拶ができる | □ 言葉遣い/敬語 | □ 表情の使い分け | □ 腕や脚を組む |
| □ 清潔感がある | □ 声の大きさ | □ 目つき | □ 座り方/姿勢 |
| □ 目を見て話している | □ 話す速さ(ペース) | □ 自然な笑顔 | □ 威圧感 |
<介護・医療・福祉人材に不向きな言動に注意>
高齢者や患者、その家族などと接する業務のため、目に余る場合は慎重に判断しましょう!
・身だしなみがだらしない、不潔さがある
・言葉遣いが乱暴で口調が怖い。目つきが悪い
・極度の人見知り、笑顔が全くない
見えにくい応募者のパーソナリティを知る質問
応募者の人柄や考え方、価値観などの志向性は応募書類から読み取ることは難しいため、面接での見極めが重要です。そのためには、欲しい人材のタイプに近いか確認できる質問を準備しておきましょう。質問は「はい」か「いいえ」で答えられない聞き方をすることがポイントです。質問例を参考にしてみてください。
【求める人材の要件】素直で、新しい取り組みにもチャレンジできる柔軟性のある人材を採用したい
[質問例1] 〇〇さんは上司や同僚に間違いを指摘されたら、どう行動しますか?
※NG質問:〇〇さんは素直ですか?
(質問の意図と見極めポイント)
素直な人材はミスや間違いの指摘をしっかり受け止められます。その後の行動が前向きなものであれば信頼できるでしょう。
[質問例2] 業務改善に取り組んだ経験がありましたら、具体的に教えてください。
※NG質問:〇〇さんは業務改善できますか?
(質問の意図と見極めポイント)
入職後に任せたい業務や役割について、過去の経験や実績を確認します。自社が求めているものと近い、マッチしていれば活躍が期待できるでしょう。
深堀り質問で応募者の本音を知る
理念に共感した、感銘を受けたなど抽象的な回答を聞いて、分かった気にならないようにしましょう。特に応募者が明るく笑顔で受け答えしていると、良い印象を抱きがち。表面的な質問だけで終わらないように、抽象的な回答があった場合は掘り下げて質問し、本音を見極めましょう。
<ありがちな“好印象”の回答は掘り下げて本音を知る>
「応募者:自社の理念と私の目指す理念が合致しており、とても感銘を受けました」
(深堀り質問例)
Q:一致している理念を教えてください。
Q:なぜこの理念を大切に思っていますか?
「応募者:利用者が幸せに過ごせる環境作りに力を入れていると感じ、理想の施設だと思いました」
(深堀り質問例)
Q:特に理想の環境と感じた点はどこですか?
Q:利用者の幸せは具体的に何だと思いますか?
覚えておきたい!4つの掘り下げ質問ワード
| なぜ? | 具体的に? | どう思った/考えた? | もう少し詳しく |
| 理由や根拠を知ることが可能 | 詳細を明確にすることが可能 | 感情、意思を知ることが可能 | 情報を引き出すことが可能 |
質問数より質問の「質」を上げることが重要
面接時間は限られています。質問数を多くするよりも、深堀り質問で解像度を高めるほうが応募者の人柄や考え方を理解しやすくなります。
(深堀り質問例)
◆質問スタート
(面接官)〇〇さんの一番印象に残っている失敗は何でしょうか?
(応募者)送迎で車いすが必要なのに忘れてしまったことです。
◆失敗エピソードを深堀り
(面接官)〇〇さんはその時、具体的にどのように対処しましたか?
(応募者)途中で気づき、すぐ取りに戻りました。この失敗を踏まえ、準備と確認方法を考え、メンバーにも共有しました。
◆さらに深堀り
(面接官)準備と確認の方法をもう少し詳しく教えてください。
(応募者)はい。準備のマニュアルと出発前のチェックシートを一体化し、確認ミスが起きないように改善しました。
<深堀り質問をすると応募者の人柄や考え方が明確に>
・自分の失敗を認められる正直な人柄
・失敗に気づいても冷静に行動できる
・失敗を反省しつつ、次に活かせる
・新しい視点や考え方をもっている
まとめ
面接の合否判断の基本的な考え方は応募者の「職務履歴や保有資格の確認」と「人柄や考え方」の両面から見極めることです。介護・医療・福祉人材は対人スキルが必要です。業務経験や能力に問題がなくても人柄や考え方に難があるとミスマッチ採用になってしまいます。人柄は目に見えにくいため、面接の質問を工夫し、応募者とコミュニケーションを通じて判断しましょう。


